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【CloseUp Flash Reloaded】FRENZ イベントレポート
2009年 9月12日(土)、新宿ロフトプラスワンにて映像作品のライブイベント『FRENZ』が開催された。“FRENZ”はFriends(仲間達)とFrenzy(熱狂)をコンセプトにWEB上を中心に活動する映像作家による作品を参加者全員で一体となって楽しむことを目的としたイベントであり、 有志によるオフラインイベントとしては 2年ぶりの開催となる。しかしこれまでのオフラインイベントとは異なり、出展者はFlashクリエイターだけではなく、ニコニコ動画などで活躍しているクリエイターやパフォーマーも参加している。出展者、来場者ともにこれまでのイベントより幅広い層の参加が見られた。
主催の as@地生 氏の乾杯の音頭と共に始まったイベントは 3部構成であり、はじめに上映されたオープニングの制作代表としてyama_ko氏が壇上に登場し、お祭りをテーマに ShakeSphereさん にFRENZ向けのオリジナル楽曲を提供頂いた経緯が語られた。
続いて壇上に登場したのは、やたらがす氏。これまで狂気系と呼ばれる作品を制作してきたが、一転してゆったりとした不思議なアニメーション作品となっている。その理由として、今まで自分の世界を前面に押しだしすぎたので、表現をシンプルにして自分の好きな絵本の世界を作ってみたことが述べられた。
次に登場したのは、懐かしの2ちゃんねるアスキーアートのキャラクタを用いたパロディアニメを制作したNRF氏。Flashを作るきっかけとなった憧れやイベント参加に対する長年の夢を作品に込めたことが語られた。
【CloseUp Flash Reloaded】オンラインイベント「slashup03 おこた祭」
年末イベント特集3回目は、昨年12月24日から27日まで開催された『slashup03 おこた祭』。本イベントは、前身である『紅白FLASH合戦』の流れを汲む年末最大のオンラインFLASHイベントである。今回は、昨年まで行われていた対戦形式の公開ではなく、アニメやPV、ゲームなどのジャンル毎に部門を分けての公開となった。そこで今回は「ウェブアニメ部門昼の部」の中から注目の3作品を紹介する。
■MUSIC FIGHTER LAST EPISODE FREEDOM
音楽を管理する団体から音楽の自由を取り戻す戦いを描いた物語の最終話。戦いの中で音楽を使う立場と管理する立場から発せられる主張は、どちらも正論であるが故になかなか考えさせられるテーマとなっている。また、3部作となっている本作はいずれもslashupのイベントで公開されているのが特徴的だ。どのような目的で3部作として構成したのか制作者のtigo氏に伺ってみた。
「3部作構想は1話制作開始から考えてました。
1話のテーマ『音楽は音を楽しむ と書いて 音楽』
2話のテーマ『音楽は力を与えてくれるもの』
3話のテーマ『音楽のあり方』
今回の3話では 音楽制作者から見たFLASH制作者への意見を想像で描きました。音楽を自由に使いたいというのは皆が思ってることだと思うんです。JASRACをネタにしたFLASHというのは結構沢山出てきたわけです。しかし『自分が作った音楽を勝手に使われた側』の意見は誰も扱ってなかったわけでして…
自分が作ったものを勝手に使われて意図しない形になったり、許可無くお金儲けの素材などに使われたら嫌だと思うんです。それは音楽制作者でもFLASH制作者でも同じだと思うんです。そういう意味ではあの『閣下』も根っから悪い人ではなかったと思うんですけどね… まぁ完全に悪役になっちゃいましたが(笑)」
なるほど。場合によっては、ストーリー中の主人公と『閣下』の立場が全く逆になっている可能性もあるのかもしれない。
「まぁFLASHを作る過程で著作権は避けて通れないものなので、FLASH制作者側ももう少し著作権の事を考える必要がある。そう受け止めてもらえるよう願ってます。」(tigo氏)
著作権の現状について問題提起するという比較的重いテーマを、歌と戦いを主体としたエンターテイメント性のあるストーリーへと昇華した名作といえるだろう。物語全体の流れを把握していただくためにもぜひ1話からご覧いただきたい。
・tigo’s Factory
■トチガミ
舞台となる島では、昔から土地神が崇められていた。開拓が始まったあとも崇め続けられたが、時の経過は科学を発展させ、いつしか人間は土地神から科学技術へと崇拝する対象を変えていく…
言葉や説明で語ることなく映像のみで構成された本作は、産業革命や工業化を経て便利な世の中に発展したことにより忘れてしまった何かを思い起こさせてくれる。
「この作品のテーマは、『歴史の変化』といったところが妥当でしょうか。あまり深くは考えてなかったのですが、時間がどんどん過ぎていき、歴史に変化が現れることで、世の中で崇拝され続けていた神様という存在が、どんどん人の世界から離れていく。こうして忘れられていく神様の存在をこの作品に描きました。」(おぎしろ氏)
今回の作品を作ったキッカケや内容の詳細がブログで紹介されている。作中の世界に興味を持たれたら覗いてみてはいかがだろうか。
・Holography
■変わりゆく宇宙と変わらない俺達と
交通事故により飼い主と離ればなれになった子犬が再び飼い主のところに辿り着くまでを描いたMusicClip風の物語。子犬が成犬になるほど長い間移動したのかと思うとその帰巣本能には驚かされる。
「kotetu様の楽曲、「Life is not a dream」を聴いてなんとなくムービーが頭の中に浮かんだ、というのが製作の動機となります。
今回は「光」「陰影」の表現・演出を意識してみました。アニメーションの方も、もう少し作りこんでみたかったのですが、締め切りの関係であえなく時間切れに…」(ごきぶりの出汁氏)
様々な出会いと別れを繰り返しながらも家路にたどり着くことのできた結末に、思わず犬に労いの言葉をかけてみたくなることだろう。
【CloseUp Flash Reloaded】魔法使いが登場するファンタージアニメ
魔法使いと言えばゲームやファンタジー小説に数多く用いられているキャラクターである。一般に魔法使いに対して豊富な知識を持ち賢明で思慮深いイメージを持つが、アニメやマンガではちょっぴりドジで未熟なキャラクター設定であることが多い。その方が見るものへ近親感を高め魅力あふれるストーリー展開にできるからであろう。今回はそんな人間味あふれる魔法使いのFLASHアニメを紹介する。
■魔女と森の精霊
森に住む”マリー”という女の子と森の精霊との交流を描いた物語。森の精霊と共に暮らしていたマリーはある日国王の使いにより捕われてしまう。しかしマリーの身を案じた精霊が彼女から授かった精霊石を返すことにより、魔力を取り戻したマリーは脱出に成功する…
多関節アニメーションによるキャラクターの細かな動きや国王の使いとの対面で一瞬現れる火あぶりのシーンなどがストーリーを奥深いものにしている。
「キャラクターの造形が以前の作品に比べてだいぶ複雑になっているので動かすのに苦労しています。またこの作品は本来なら4分程度のお話になる予定だったのですが、いろいろな事情で後半の展開を無理やり圧縮して2分で収めています。」(たけはらみのる氏)
精霊や魔法で黒猫と共にホウキで飛ぶなどファンタジーの王道をゆく展開は、そのまま絵本になっても遜色ないほどの完成度ではないだろうか。
・こしあん堂
■North Forest Majical Academy
季刊のWeb漫画雑誌「KNOW」に掲載された同コミックをFlashアニメ化した前後編による2部構成の物語。魔法学院に入学して3ヶ月経っても魔法を使えないことに悩む”サキ”。それをからかう同級生の”エル”と一悶着した時、不運にも乱暴者の上級生”バロータ”に本をぶつけてしまう。怒ったバロータは、2人を体育倉庫に閉じこめてしまう…
サキが魔法を使えるようになるまでの長い1日を描いた本作は、それぞれのキャラクターが明確な役割を追っていることでテンポ良いストーリー展開となっている。
「表情やしぐさ セリフのテンポなどに気を使ってます。実はパ○○ラもしっかり作ったけど作品投稿のためにアングルをごまかしました(汗 」(tigo氏)
モーショントゥイーンを活用することでキュートな活発的な女の子を表現したアニメとして代表的な本作は、過去に紹介した「妄想爆発!! 奈々子さん」をはじめ、tigo氏のその後の作品にも数多く登場している。他の作品での彼らの活躍も注目されたい。
・tigo’s Factory