今年もあっという間に半年が過ぎ去ってしまった2008年、FLASH界隈もオンライン/オフライン共にイベントが少なくなるなど以前の活気が見られなくなってきた。一方で公開の場をニコニコ動画に移したFLASHムービーのいくつかは10万を越える再生数を得るなど、元ネタの影響力があるものの、まだまだFLASHの根強い人気が感じられた。そこで今回は2008年上半期にニコニコ動画で人気を得たFLASHムービーを紹介する。
■イー・アル・カンフーで、ラップにアニメ動画をつけてみた。
先週の『ニコニコ動画考-「歌ってみた」編』で紹介したヒャダイン氏によるイー・アル・カンフーをラップ調にアレンジした曲をアニメ化したFLASHムービー。最新の話題から昔のゲームなど様々なネタが作品全体に散りばめられており、最後まで楽しく見ることができる人気作品である。どのようなキッカケでこの作品を作ろうとしたのか制作者のDNA氏に伺ってみました。
『曲を聴いてパッとシーンが次々浮かんできたんですね。5回くらい聞いたらほぼ完全にイメージが出来上がりました。 ヒャダインさんの曲はキャラは沢山出てくるし、ストーリーはあるし小ネタ満載だし、音楽の域を超えたエンターテイメントという感じなので、それに魅せられました。 あとおくせんまんもそうでしたが、ファミコンネタには本当にすぐ食いついてしまいますね。ファミコラボです(笑)』
ファミコン世代の人たちには懐かしさを与え、それ以外の世代の人たちにも小ネタで上手くフォローしていたことが、多くの人たちが見た理由かもしれませんね。
『沢山の方に見ていただいて本当に嬉しいです。すべての動画に共通しているのですが、仕込んだネタに反応してくれるのが最高に嬉しいですね。』(DNA氏)
・DNAのどうRO
■ミラクルペイント PV
OSTER氏作曲の初音ミクの歌「ミラクルペイント」のPV作品。ねんどろいど的な2.5頭身の初音ミクが踊り歌う可愛らしい作品。作品全体から原曲のリスペクトと愛が感じられる。またFLASH版には思わずニヤニヤしてしまうちょっとした仕掛けが施してある。詳しくは制作者のブログをご覧頂きたい。今回初音ミクの歌をPV化しようとした経緯をfla3氏に伺ってみました。
『とにかくオリジナルの楽曲と絵に惚れた。これにつきます。オリジナルを観て頭に浮かんだ物を形にしたい衝動をおさえられなかったということです。
制作期間は3ヶ月かかったのですが、苦労を感じた部分はありません。とにかく楽しかったです。強いて言えば、仕事から帰ってきて睡眠時間をチョットずつ削りながらの作業だった点だけですね(笑)』
初音ミクでは3D系のPVが多い中、ここまで大きな反響を得た理由はどのようにお考えでしょうか。
『オリジナルが初音ミク屈指の名曲ですのである程度うける自信はありましたが、ココまでとは思っていませんでした。ここまで反響があった要因は
1.オリジナルのイメージを壊さない様に心がけた
2.2Dでちょこまかと動き回るタイプのPVはニコニコ動画ではあまり無かったので新鮮だった
3.俺の愛が伝わった(笑)
という事だと思います。あと作曲者が2ゲットでリンク張ってくれた点が大きかったですね(笑)』(fla3氏)
・fla3 flashやってます
■「行列のできるえーりん診療所」PV
先月開催された博麗神社例大祭においてIOSYSより頒布された「東方真華神祭」に収録されている同曲のPV作品。えーりんをはじめとしたデフォルメキャラの魅力に人気のあるtake氏の東方関連のPV作品は、どのように制作されているのかご本人に伺ってみました。
『どの作品においても基本的に絵に動きを入れるのが苦手なので、そこの部分がとても苦労しました。毎日徹夜もかなり辛いです。でもニコニコ動画等で初めて自分が制作した作品のMADが作られたときの感動は忘れられません。本当にありがとうございます。また、作品に対してコメントが貰えることがどれだけ幸せなことなのかを実感しています。』(take氏)
・Toxic Landfill
制作者の「楽しんで作ることができた。」「みんなに見てもらえて嬉しかった。」といった意見が共通的であり、創作活動の原点を改めて感じさせられた。またそのような感情を喚起させることが、ニコニコ動画の人気を支えている一つの理由であるのかもしれない。今年度下半期もこのようにみんなが楽しく見ることができるFLASHムービーの登場を期待したい。