【CloseUp Flash Reloaded】映夜祭’07 イベントレポート1


2007年9月15日、新宿ロフトプラスワンにて映像上映&トークイベント「映夜祭’07」が開催された。今年で4回目を迎える本イベントは、昨年のレポートでも紹介したとおり、映像コンテンツを酒の肴にオールナイトで酒と雑談を楽しむイベントであるが、今回は2部制となり、本イベント以外にもプレイベントが新たに設けられた。


会場に入るとまず目に入るのが、メモ用紙を自由に貼り付けられる掲示板。ここに貼り付けられたコメントやイラストなどはイベントラストを飾るエンディングに用いられた。この他にも観客と運営が一体となって楽しむための企画が様々な所に仕掛けられていた。

また会場の脇には物販ブースが設けられ、お馴染みの缶バッチやメテオジャックスのぬいぐるみを始め、映夜祭の公式グッズが所狭しと並べられていた。イベント開始前や休憩時間には多くの観客がブースを訪れ好評を博していた。




夜の部であるプレイベントでは、オンライン投票で選ばれた過去に上映された名作や問題作を中心とした構成となっている。18歳未満でも入場可能であるため観客は比較的若い人が多いように見受けられた。プレイベントの司会は爆走戦隊氏と見習い氏。まず始めに上映された注意事項&オープニングでは、外山恒一氏扮する爆走戦隊氏が、政見放送のように注意事項について檄を飛ばすシーンが演じられ、観客共々若さが生み出す勢いに会場は早くも盛り上がりを見せた。


恒例の乾杯を経てスタートした第1部は、映夜祭’04および’05で上映された作品を中心としたパートであった。これまで見たことのある人には懐かしさを感じるが、初めてオフラインイベントに参加した人にとっては大スクリーンによる映像は非常に新鮮に映ったことであろう。
第2部は、イベント初参加のクリエイターによる新作を中心としたパートだ。MGやPVのほか、笑いを誘うネタなどバラエティに富んだ作品が上映された。壇上インタビューでは、「果てしない旅の起点」を制作したIidako氏は、『時間が足りなくて断念したバトルアニメーションを来年作りたい』と宣言。また「TOKYO TRAVEL」のa-keyことカギ氏は、『本作が元々映夜祭向けに作られたものではなく、昨年開催されたオンラインイベントPerfect Promotionに提出したかった』などの秘話が語られた。
ネタのオンパレードで爆笑の渦に包まれた冬もぐら氏の「ニュースエイヤッサ」ではなんと爆走戦隊氏がセーラー服で登場。らき☆すたOPを踊る予定であったが機器のトラブルにより残念ながら断念。壇上に上がった冬もぐら氏もまさか本当にやるとは思わなかったとのコメントが語られた。

第3部は、昨年の映夜祭上映作品を中心としたパートである。本パートではFlashクリエイターではないが、ものを作りたいという原動力は一緒であるということから特別上映として吉浦康裕氏の「水のコトバ」と新海誠氏の「彼女と彼女の猫」が上映された。どちらも5年以上前に制作された作品であることを感じさせないクオリティに、多くの観客は驚きと共に新たな刺激が得られたことだろう。
元浦島氏の「走れ!まっつん! 2007.ver」では、3Dメガネによる変わった演出が行われた。確かにもの凄いリアルなキャラが登場したと思ったら、よく見るとナントまっつん氏が褌一丁で壇上に登場! 3Dメガネは壮大な釣りであったことが判明した。この演出による笑いを得るために自腹を切って3Dメガネを準備した元浦島氏に敬意を表したい。ラストは映夜祭04の寄せ書きFlashの上映をもって大盛況のうちに幕を閉じた。



続いて深夜から始まったイベントでは、スキマ産業氏の注意事項とにじます氏のオープニングが上映された。いつもスタイリッシュな映像を作られるスキマ産業氏のネタを中心にした映像が目新しく感じられた。司会はお馴染み主催のまっつん氏とおとまにあ氏。恒例となったまっつん氏のコスプレに期待が高まるなか、今回はアスキーアートのキャラクタであるフサギコの被り物に甚平といったスタイルで登場。プレイベントと同じく乾杯でスタートした。

歓談の後に始まった第1部では、まっつん氏が某ネズミの着ぐるみに変身して登場。今回は複数の衣装で登場することを予感させた。まずは「ナツバカ」が上映。壇上インタビューでは制作者のGUDZY氏が、トップバッターであったことの驚きと締切りを守ることのプレッシャーを語った。続いて上映された「pledge of tomorrow」の制作者Shojii氏は、車の走るシーンを描くためカメラを片手に高速道路を走らせたといったエピソードを語られた。「Kanon」の制作者の福ヲタ氏は、なんと昨年の映夜祭で当選した“まっつんのすね毛をガムテープではがす権”のチケットを持参。壇上での公開処刑が執行されたが会場は大いに盛り上がった。

第2部は、MusicClipを中心とした作品が上映された。壇上インタビューでは、「有心論 ~ You & I ~」の制作者である暇津氏は、『コマアニメを作りたかったが動きがガクガクになってしまった』ことや『今後はレベルを上げたものを作りたい』といった意気込みが語られた。「Leafboy and Sungirl」のD.Forest氏は、『作品のコンセプトを曲やタイトルのイメージから膨らませて制作した』と述べた。第2部のラストを飾ったエジエレキ氏は、これまでの作風とはだいぶ異なっておりどういった心境からかとの問いに対して『もともと制作していた格闘系も好きだが、狂気系も大好きなので作りたかった』と語られた。

第3部では、みんなのかけ声と共にひこにゃんに変身したまっつん氏が登場。続いて上映されたAZ FLASH氏の作品「メイドイン AZ FLASH」にも登場したことから、その伏線のためのコスプレだったのかもしれない。さらにパートからはいよいよ映夜祭の本領発揮。お色気にパロディ、そして何も語ることのできない危険なネタのオンパレードに観客のボルテージも一気にヒートアップ。K.Yの上映後に壇上に上がったカーネル・あのよろし氏は何がしたかったのかという問いに対し『ナニがしたかった』との切り返し。絡みにくさを司会に見せつけながらも作品に対し『もうすぐ後悔するかもしれない』とのコメントが何とも印象的だった。また「やる☆すた」の尿結石氏は『作り始めたのが4月末から5月頃でありネタが古いからと思ったけどウケたからそれなりに良かった』とのコメントが語られた。

第4部では、ゴッドマンに衣装チェンジしたまっつん氏が登場。だがあまりの視界の悪さに仮面を外しての進行となった。壇上インタビューで「ふらはく」のW-slip氏は、どういう意図で作られたかとのといにたいしては『わからない』と答えた。その理由として、オチが作れなかったり使おうと思っていた曲が流行ったことで、色々な作品に使われたことで情熱が失われたなど制作における苦労が語られた。
また「2ch風ナイトメアアナボリズム」のハタラキ有氏が『うちの嫁が誕生日なので祝ってください』と発言したところ、拍手が会場に沸き起こった。第4部ラストを飾った「ワタシノヒミツ」のコウキ氏は『いつもよりはテンポの良い曲で作った。何かネタを入れたいのでこういう事をしゃべってくださいと葉月ゆらさんに送ったら一晩でやってくれました。』との制作エピソードが語られた。

最後となる第5部では、力の入ったPVやパロディからおもわずニヤリとさせられる秀逸なストーリーものなど感心させられた作品が目白押しであった。プレイベントにも作品を上映された「DREAM”2”」の冬もぐら氏は、今後の予定との質問について『何か作れれば今年あと2作品ぐらい作る』と制作に対する意欲を見せていた。また、「ストロベリーパイ」のこな氏は今後の抱負について『違う作風のものを作ってみたいと思います』と語られた。
今回の映夜祭で一番の拍手喝采を浴びた「ふら☆すた」の写経同好会氏は、『GWやお盆休みなど4ヶ月まるまる使って完成させた。しんどかった。』と制作の辛さを語った。また『自分が見てきたFlashの中で凄いと思った人の作品に対するリスペクトであり、こういうイベントでみんなが盛り上がれる作品を出したい。』との想いから作られたことに対して会場は大きな拍手に包まれた。オオトリを飾った「突然ヤツらにアニメ作りを強要されました。」の制作者み~や氏は『苦し紛れに作った作品なんですけど…』とコメントされていたが、2週間で作り上げたというエピソードに司会の二人も感心していた。

全作品の上映後にはプレゼント抽選が行われた。まっつん氏が身に着けていた様々なコスプレ衣装や人形などが当選者に配られる中、誕生日を迎えたハタラキ有氏の奥さんに時計が当選した。偶然が生みだした誕生日プレゼントに、会場はハッピバースデーの合唱と共に暖かな拍手に包まれた。最後には寄せ書きエンディングが上映され映夜祭’07は幕を閉じた。



上映されたイベント作品の一覧やイベント参加者のレポートなどは、映夜祭’07 公式サイトやイイ・アクセスの2007年9月15日 アーカイブを参照いただきたい。また、次週はイベントで上映された作品の一部の紹介と映夜祭関係者に伺ったインタビューをお届けする。


(次回に続きます…)