【CloseUp Flash Reloaded】映像ライブイベント slashup04特集1


2007年8月18日、新宿ロフトプラスワンにて『slashup04 fb Re:birth』が開催された。イベントの模様は先日のレポートでお伝えした通りだが、今回は9/1より公式サイトでオンライン公開された上映作品のいくつかをピックアップし、作品紹介並びにイベント主催者であるas@地生氏に伺ったインタビューをお届けする。



幻妙夜話

映像の冒頭で脚本担当であるミスターXの正体がいきなり明らかになる日暮里本社氏による長編物語。情緒あふれる日本の古き時代を舞台に一人で留守番をする少女“志乃”の前に表れた妖怪が語る「知らせ小鬼」のエピソードは上映されたイベント会場を不思議な魅力に包んだ。“つづく”と言うラストで締めくくられているので是非シリーズ化に期待したい。
「同じ脚本でも、料理の仕方で結果に差が出るはずだと自分に言い聞かせながら作りました。また、ドラマ風のつくりはほぼ初めてだったので、タイミングや見せ方などかなり苦労しましたが、同時に大変勉強になりました。
以上を一言で言うと、原作物は二度と御免…じゃなくて、それなりに難しいなあという感じです。」(日暮里本社氏)

ザ・ガーベージ・コレクション
Poo’s WORLD


Infina

一瞬の星の煌めきのように瞬きする間に表れては消えていく様子はまるでBGMを奏でている音符のようであり、そんな光と音の旋律に酔いしれてしまいそうになるMotionGraphics作品。前半は4小節ごとに1つ1つのオブジェクトをモノクロでじっくり見せ、後半も色彩豊かで流れるようなモーションの緩急が心地良いイメージを与えています。
「Perfect Promotion’07直後という日程に絶望しつつ、必死で制作しました。またmtr氏の曲とのコラボは二度目なのですが、実は『Infina』というタイトルもmtr氏が考案したもので『際限・境界のないもの』という意味らしいです。」(yama_ko氏)

yama-ko.net




≪対談者プロフィール紹介≫

as@地生…『slashup04 fb Re:birth』より、slashup主催。2002年夏頃、「2ちゃんねる全板人気トーナメント」において、多くの応援Flashに感動したことからFlash・動画板で投下される数々の作品を鑑賞するようになる。その後オンライン、オフラインに限らず、Flashイベントを視聴者の視点から追ってきた。

UG-K…ここを読んでくれている人なら当然知っているCloseUp Flashを支える国内最大Flashニュースサイト「イイアクセス」管理人。今回の対談のまとめ役。

UG-K
as@地生さんのプロフィールについてお伺いしたいと思いますが、2002年頃というとFlash・動画板ができた当時からFlash見てらしたのですね。

as@地生
そういえばそうなんですね。2002年のはじめごろ出来たんですっけ?

UG-K
2002年の1月17日ですね。それ以前にもゴノレゴやUNIXなどありましたけどその辺りのFlashなどは?

as@地生
どちらも既にウェブで公開されたときには見ていた覚えがありますね。おそらくそれが「Flashでつくられた作品である」と認識して見だしたのが2002年の夏頃だったのかなぁ。

UG-K
これまで他のオフラインイベントで見かけることがありましたけど、イベントにスタッフとして参加されるようになったのはいつ頃からでしょうか?

as@地生
自分はずっと観客の側でイベントを楽しむ側にいました。スタッフとして参加したのは昨年のslashup02からですね。

UG-K
イベントを観客として見る側からスタッフとして作る側に変わったのはどんな心境からでしょうか?

as@地生
当時大学生だった自分はFlashを仕事で使ったり遊びで習作を作ったことはあっても、人に見せられる作品を作ったことはほぼ無くて、時間はたっぷりあったのに日々公開される作品を見るばかりで、それを受けとるだけの自分に凄く不満を持っていたんです。

as@地生
大学で学芸学や博物館学を学んでいたんですけど、イベントもまた展覧会であり、スタッフの仕事は学芸員のそれに近いモノであると思います。

as@地生
そこで自分が学んでいた事を活かしてFlashを作る人たちを応援したい、盛り上げたい、という思いからイベントスタッフを志すようになりました。

UG-K
それで今回主催をされるまでに至ったわけですね。

as@地生
いつの間にかそういうことになっていました(笑)


UG-K
それでは次にslashupというイベントの特色についてお聞かせ下さい。

as@地生
slashupは元々オンラインコンテンツであるFlashムービーを大画面、大音量で、大勢の観客、職人と呼ばれる映像クリエイターと共に体感・共有する映像ライブです。実行委員会による選出で決定した新進気鋭の映像クリエイターによって制作された作品が上映されます。

as@地生
オンラインでの動画鑑賞とは違った迫力と臨場感、一体感を生みだすことで、Flashムービーの新たな可能性を探ることがこのイベントの狙いです。

UG-K
上映された作品を見ますと各部に渡ってそれぞれ特徴的なテーマみたいなモノが感じられましたが、今回3部構成とした理由はどのようなところからでしょうか?

as@地生
4時間に渡るイベントですのでどこかに休憩を挟まなければなりません。単純にそれが理由だったりするのですが、第2部で新しいことを挟みつつ、その前後では一気に作品を流したかったので3部構成としました。

as@地生
第1部ではFlashでアーティスティックに魅せる作品を、第3部ではオフラインのお祭りだからこそ出来る、笑いを誘う作品と考えさせられる作品を中心に集めました。その間に第2部ではYouTubeやニコニコ動画といった新しい時代を挟んだ形です。

UG-K
特に第2部では、これまでなかったFlash以外の作品上映の場が設けられましたがその狙いはどういったものでしょうか?

as@地生
自主制作映像を大画面で流すということで、Flashムービーのみに固執するべきでは無いと考えています。Flashを使う上でもPhotoshopやIllustratorを使うクリエイターがいるように、Flashはあくまでもツールなんですよね、結局。

as@地生
いい物をつくるためにFlashにこだわる人もいるし、AfterEffectsを使ってみるひともいる。逆に極端な話、実写映像をFlashで書き出しすればFlashムービーと言われちゃいます。

as@地生
同じように、これまで自分のウェブサイトにアップしてそれを誰かに見てもらい、感想を待つといった方法以外に、より手軽に多くの人に見て欲しいというクリエイターの欲求を満たすYouTubeやニコニコ動画といった公開の場が増えただけだと思うんです。

UG-K
昔と違って現在は、映像を作る手段も公開する場所も多様化していますからね。

as@地生
イベントがFlashに固執するせいでその場にある高クオリティの自主制作映像に見向きもしないのは大変勿体ないことだと考え、今回盛り込みました。

UG-K
確かに動画共有サイトなどの躍進により何を以ってFlashというのか、その定義自体あいまいなものになっている気がします。

as@地生
その動画共有サイトで使われてる形式もflvで、Flashの親戚ですしね。

UG-K
よく考えてみればこれまでもFlashじゃないツールで作られた作品が上映されてましたね。

as@地生
そうですね。今回も制作中に「AfterEffectsでしか表現できない方法を使いたいので提出がFlashの形式じゃなくなります」という方がいらっしゃったりました。

UG-K
なるほど。つまりslashupではFlash以外の作品も含め幅広く自主制作映像を取り上げる方向であるということでしょうか?

as@地生
自分で言ったことを覆すようですが、基本的には“Flashを中心に使って制作された作品”ということに意義があるかと考えています。

as@地生
ただやはりFlashはツールであり、今回のように別のツールを組み合わせることで更に表現を追求したいというクリエイターの欲求を止めることは、僕には出来ません(笑)

UG-K
クリエイターの要望を尊重するということは見る側の期待に応えるという面もあるため、クリエイターと観客双方にメリットがあることかもしれませんね。


(次回に続きます…)