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【CloseUp Flash Reloaded】キャラクターの魅力が光る個性的Flashムービー


Flashムービーに限らず映像作品を印象づけるのに大きな役割を果たしているのはキャラクターが持つ個性である。昨年大ブレイクした「やわらか戦車」や「秘密結社 鷹の爪」も作中に登場する個性的なキャラクターが人気の大きな牽引力になったのはいうまでもない。しかしインターネット上には、これらの作品以外にも様々な個性あふれるキャラクターのFlashムービーが存在する。そこで今回は、個性的なキャラクターが登場するFlashムービーを紹介する。



3歳シリーズ


FLASHで綴る家族日記をコンセプトとしたドキュメンタリー。日常の中から生まれた様々なエピソードが紹介されこれまでに100作品以上が公開されている。ブログなどを使った育児日記は数多くあるが、それをFlashムービーで実現したものとしては初のケースと言えるだろう。デフォルメ化されたキャラクターが起こす様々なハプニングが微笑ましく、家族愛に満ちあふれた温かさが感じられる。これだけ多くの作品を生み出した原動力は何なのか、制作者のG-STYLE氏に伺ってみた。

「単にネタが尽きないし作りやすいというのが今まで続いてきた理由だと思います。下の子が産まれる直前から作り始めて既に3年が経過しました。その時産まれた次男はもう3歳です。毎日色々な事をやってくれるので慣れてしまった部分もあります。当初は制作に1日かかったりもしましたが、今では2時間足らずで完成です。」

このようにして生まれた3歳シリーズは、老若男女問わず広く親しまれ、現在では書籍「3歳シリーズきちゅび2」をはじめ、ストラップやマウスパッドなど様々な商品化が展開されている。しかも書籍以外のロイアリティは全て乳児院に寄付されている。

「3歳シリーズは企業が絡む商売としてではなく、個人で何がどこまで出来るのかをやってみたかった実験的な要素もあります。結論は『沢山の人と支え合って行かなければ上手く行かない』といった所でしょうか・・・
おかげ様で色々な人と出会う事が出来ました。私にとってこの数年間は素晴らしい人生経験となりました。」(G-STYLE氏)

最近も今月に発売された『蛙男商会の本』にトリビュート作品を寄稿している。一体どのような作品となっているのだろうか。

「3歳シリーズでは初となるフルボイス版です。今回は勝手に鷹の爪団・関西支部を開設、団員を募集するという内容ですが一番のメインは嫁のエッチなあえぎ声です。ちなみに吉田君と総統のセリフはどうしても適当な素材が無かったので自分で喋りましたが、吉田君は難しいですね。一応デラックスファイターとフィリップも出来るようになりました。」(G-STYLE氏)

これからも様々なシーンで3歳シリーズを見かけることができるかもしれないので期待したい。


3歳シリーズ



mofu☆mofu


無邪気で、人なつっこくて、ちょっと寂しがりな、宇宙生物“モフモフ”。そんなモフモフと、双子の少女が出会って心を通わせる物語。特徴的な形をしたキャラクターや曲にあわせたミュージカル風味な展開など作品から明るく楽しい雰囲気が全面に押しだされている。

「ショートアニメを作ってみようと思い立った時、右も左もわからなかったのですが、へたくそでも何でもとにかく自分が楽しんで作ろう!と心に決めました。そこでまず、好きなものをまず羅列してみました。
すると、“ちびキャラ・小動物・ツインテール・ワンピース・ピンク・みたらしだんご”と、アイテムが出そろいました。そこからは歌ったり踊ったりしながらFLASHをつっついてたら、いつの間にかあんなのが出来ていたという感じです。」(ちぃ氏)

今後はモフモフ星の仲間を色々登場させ、双子とモフにいろんな冒険をしてもらいたいと語るちぃ氏。本シリーズの第2話が近日公開されるそうなので楽しみである。


vitamin+chi

【CloseUp Flash Reloaded】GIFアニメーションから生まれたFlashアニメ


Webで見かけるアニメといったらGIFアニメであった時代がある。GIFアニメの歴史は古く、アニメーション効果を持った画像形式である「GIF89a」がサポートされてからナローバンド時代におけるWebアニメーションの中心であった。その系譜は現在も活動している動画コミュニティ「大日本動画帝國」から伺い知ることができる。その後、ブロードバンド化によりクリエイターの多くは、GIFアニメからFlashやMovieへと制作の場を移してきた。今回はそんなGIFアニメの技術を基盤としたクリエイターの作品を紹介する。



海からの使者・前編


本作は、2000年ごろからスタートしたGIFアニメシリーズ「機動戦士のんちゃん」より1つのエピソードを描いた「雨に抱かれて」の続編である。父親に叩かれる少女を守るために立ち上がったのんちゃんが、暴力や虐待が横行する世の中に心身ともに傷つくところから物語は始まる。
『もう戦いたくない、この国を出よう』
失意のどん底にあったのんちゃんは、海岸で助けたカメに楽園行きを勧められ家出を決意するが、待ち合わせ場所でのんちゃんが見たものは、巨大ガメが故郷を破壊する光景だった…。
特筆するべきは、GIFアニメを制作されていた頃から注目されていた動きに対するとてつもないクオリティである。特に後半の巨大ガメが歩くシーンや破壊される街並みなどは重力感に満ちあふれ、制作者の動きに対する飽くなき追求心が感じられる。
「今回から After Effects を使用していますが、制作方法はGIFアニメと同じ、パラパラ漫画の手法。作画に関しては、毎回自分に課題を設けて取り組んでいます。JAWACONのスクリーンで上映される事が決定していたので、極力緻密に、大画面での鑑賞に耐えられることを目標にしました。結果、制作日数が大幅に延びて、後半部分の完成が遅れていますが、幸いなことに制作を辛いと思ったことはありません。いつかFLASHでも作ってみたいですね。」(のすふぇらとぅ氏)
現在サイトに公開されている後編の予告ムービーから、さらにクオリティに磨きがかかっていることを伺い知ることができる。後編の完成を期待したい。

活動漫画館



次郎長三国志


清水次郎長伝のアニメ化を想定したオープニングムービー。登場人物の紹介から始まり宿敵の黒駒一家とのバトルを描いている。ダイナミックな構図とカメラワークが、登場人物の動きを躍動感あふれるものにしているだけではなく、ストーリー背景や登場人物の性格までもが動きで表現されている。またBGMに動きをあわせたテンポの良さが原作の持つ痛快時代劇の特徴を前面に押し出し、爽快感ともいえる心地よさを視聴者に与えている。
「村上元三の『次郎長三国志』と虎造の浪曲をミックスした設定で、自分で出来る限りのテレビアニメタッチで作りました。時代劇の手垢のついた感じを、むしろ殺さずに体温のあるカッコよさみたいなのをねらっていた気がします。かっこいいというのは顔じゃなくて中味だー!みたいな。」(日暮里本社氏)
様々な修羅場を潜り抜けてきた男たちの生き様を本作から感じ取ることができるのではないだろうか。

Poo’s WORLD

【CloseUp Flash Reloaded】FLASHアニメーションライブイベント うらはくレポート(後編)


2007年1月20日、大阪心斎橋のFANJにて「うらはく」が開催された。イベントの模様をお伝えした前回に続き、今回は本イベントの主催者であるみのぷう氏にイベントの所感と今後の展望について伺ったインタビューをお届けする。



UG-K:今回のイベントの特色についてお聞かせください。

みのぷう:今回のイベントは、今までFLASH EXPO(略してフラハク)を支えてくださったスタッフへのお礼という意味合いと、今まで何らかの事情によって来場がかなわなかった方たちの要望に何らかの形で応えられないかという意味で「それならイベントにしてしまおう」というのが根本にありました。

みのぷう:もともと非公開の作品が多いフラハクの作品は一度きりの上映というスタイルの為に
「いけなかったので見れなかった」
「見たけどもう一度見たい」
という要望が多く、それに応えるためにはイベントをしないといけない。でも、やるからには何か新しい試みも加えないといけない…ということでトークなどを今までのフラハクから大幅に変更して構成したのがうらはくです。

UG-K:なるほど。スタッフの数や準備期間はどれくらい要しましたか?

みのぷう:運営を4人増やした8人だけでやりました。現場スタッフを入れてもたった11人です。これだけの人数で3ヶ月かけて行いました。フラハクが半年以上の準備がかかることを考えると、大幅に短縮かつ効率的なイベントだったと思います。

UG-K:少ないスタッフと短い期間で実現されたイベントということですが、大変だったことはありますか?

みのぷう:今回は、イベントを行うにあたって若い人がそれを行えるように育てるというテーマがありました。旧運営陣がやればすぐできることをあえて新しい運営にやらせたりしたので、そういう意味ではちょっと大変だったかもしれません。でも皆がちゃんと仕事をしてくれたので、予想以上に楽だったのが本音です。旧運営がイベントに慣れてかなり効率がよくなったという点もありますね。

UG-K:イベントを引き継げる体制を作り上げるという目的もあったのですね。

みのぷう:最近イベント主催してる人達と話してる中でよく話題に上る議題が「若手の台頭の無さ」なんで。

UG-K:確かにオフラインイベントというとやはりFlashブームが生まれた頃に活躍したメンバが中心ですよね。

みのぷう:今のクリエイターもイベンターも含めて若い人に引導を渡して欲しい気持ちもあるんですよ(笑)



UG-K:観客層の割合はどんな感じだったでしょうか?

みのぷう:こっちの予想に反して新規の方が多かったです。男女比はこの手のイベント特有の男9に女1くらいですかね。でも、他のイベントより女性は多い気がします。

UG-K:でも新規の人が多かったっていうのは、イベント開催の目的である行けなかったという要望に応えられたのではないでしょうか?

みのぷう:その点からいうと今回のイベントは少し敷居が高かった気がします。もうちょっと初めての人に向けたイベントにできたのでは? というのが今も悔やまれる点ですね。

みのぷう:ただ、リピーターの人達がFLASHをじっくり見るスタンスでイベントに臨んでる人が多かったので、ノリとして落ち着いたイベントになってしまいました。悪くはないんですが、初めての人には異様な雰囲気だったかもしれません。

UG-K:なるほど。司会としても活躍されたみのぷうさんから見て観客の雰囲気や盛り上がりはどうだったでしょうか?

みのぷう:フラハクの異様なノリノリ感より、皆が腰をすえて作品に挑んでいる感じだったので「こんな酷い内容のFLASHばかりなのに…」と思いました(笑)

みのぷう:レベルの高いところで酷いネタをぶっ放すのがフラハク系の特徴なので、あそこまで冷静に見られるとクリエイター含めてやる側としては恥ずかしかったりします。現に青池さんは、自作品の上映のとき恥ずかしそうに顔下げてました(笑)



UG-K:作品内容についてですが、凄いのだけどいろいろな意味でヒドイものが多くありました。公開することに抵抗を感じることはなかったでしょうか?

みのぷう:当然あります(笑)

みのぷう:内容によっては一般公開が当然不可能な作品が多数あります。だからこそ、サイトやイベント中などで徹底してネタとして笑い飛ばせるように構成には気をつけています。クリエイターの欲望に応えるのも運営の仕事だと考えています。

UG-K:クリエイターの欲望といえば、作品内容からクリエイターが普段抱えている不満を発散しているような印象が見受けられました。

みのぷう:Flashというツールはこれからまだまだ伸びるツールとは思いますが、ブームというのは上に伸びると同時に底辺が安定することが大事だと思います。そういう意味で、あくまでフラハクはあえて底辺に居続けるイベントでありたいというテーマがあるので、逆にアングラ的要素が一部の有名クリエイターの欲望発散の場として好意的に受け入れてくれているんだと思います。

みのぷう:でもまあ「フラハクなら何やってもいいや」という風潮が強いのは否めませんが(笑)

UG-K:クリエイターにとって息抜きとなるイベントでもあるわけですね。

みのぷう:そうですね。いま第一線で活躍している人達も好きでFLASHに関わった人が多いですから。最近の企業関係で活動している人達はフラストレーションが溜まっていそうですしね(笑)



UG-K:今回Masquerade作品やメゾン斉藤さんの作品などいろいろなサプライズがありましたが、どのような経緯で決まったのでしょうか?

みのぷう:Masquerade作品は、もともと運営のGarniさんと相談して決めていました。Masqueradeにもmicromediaが支援しつつ、フラハクにもMasqueradeが協力する。最終的に「白作品=マスカレ」、「黒作品=フラハク」の形で移行できればという趣旨がありました。

みのぷう:メゾン斉藤さんなどサプライズに関しては、こっちが言わなくてもイベントをやるという噂を聞くと、いつも驚きの人達が作品提出を申し出てくださるんです。こっちは気楽にやろうねって言ってるのに、ラインナップを見たら「こりゃちゃんとイベントやらねえといけねえな…」って(笑)
一種のクリエイターによる脅迫です(笑)



UG-K:さいごに今後の計画についてですが、フラハクの方は今年開催されるのでしょうか?

みのぷう:フラハクについては正直、他のイベントとの共存を考えると今年はやるチャンスがない気がします。ですが、何らかの形でやることによってFlash業界が活性化するのであればやってもいいと思いますし、結局イベントというのはクリエイターと観客によって作られるもので、運営はそれを代表して作業してるだけですから。皆さんの要望次第という感じでしょうか。

みのぷう:フラハクだけでなくflash★bombも映夜祭もJAWACONでさえも情熱が飽和した結果生まれたイベントだと思ってるので、皆ネットの人達は情熱をぶつけるのが下手な人が多い印象ですが、下手でもいいからもっともっと表に出してぶつけてほしいですね。

みのぷう:恋愛と一緒でやる側も結構鈍いっすから(笑)

UG-K:クリエイターと観客双方の期待が高まった時にイベントが開催されるというイベントの本質が見えた気がしました。また近いうちにフラハクが開催されることを期待してます。本日はどうもありがとうございました。

みのぷう:ありがとうございましたー!