Webで見かけるアニメといったらGIFアニメであった時代がある。GIFアニメの歴史は古く、アニメーション効果を持った画像形式である「GIF89a」がサポートされてからナローバンド時代におけるWebアニメーションの中心であった。その系譜は現在も活動している動画コミュニティ「大日本動画帝國」から伺い知ることができる。その後、ブロードバンド化によりクリエイターの多くは、GIFアニメからFlashやMovieへと制作の場を移してきた。今回はそんなGIFアニメの技術を基盤としたクリエイターの作品を紹介する。
■海からの使者・前編
本作は、2000年ごろからスタートしたGIFアニメシリーズ「機動戦士のんちゃん」より1つのエピソードを描いた「雨に抱かれて」の続編である。父親に叩かれる少女を守るために立ち上がったのんちゃんが、暴力や虐待が横行する世の中に心身ともに傷つくところから物語は始まる。
『もう戦いたくない、この国を出よう』
失意のどん底にあったのんちゃんは、海岸で助けたカメに楽園行きを勧められ家出を決意するが、待ち合わせ場所でのんちゃんが見たものは、巨大ガメが故郷を破壊する光景だった…。
特筆するべきは、GIFアニメを制作されていた頃から注目されていた動きに対するとてつもないクオリティである。特に後半の巨大ガメが歩くシーンや破壊される街並みなどは重力感に満ちあふれ、制作者の動きに対する飽くなき追求心が感じられる。
「今回から After Effects を使用していますが、制作方法はGIFアニメと同じ、パラパラ漫画の手法。作画に関しては、毎回自分に課題を設けて取り組んでいます。JAWACONのスクリーンで上映される事が決定していたので、極力緻密に、大画面での鑑賞に耐えられることを目標にしました。結果、制作日数が大幅に延びて、後半部分の完成が遅れていますが、幸いなことに制作を辛いと思ったことはありません。いつかFLASHでも作ってみたいですね。」(のすふぇらとぅ氏)
現在サイトに公開されている後編の予告ムービーから、さらにクオリティに磨きがかかっていることを伺い知ることができる。後編の完成を期待したい。
・活動漫画館
■次郎長三国志
清水次郎長伝のアニメ化を想定したオープニングムービー。登場人物の紹介から始まり宿敵の黒駒一家とのバトルを描いている。ダイナミックな構図とカメラワークが、登場人物の動きを躍動感あふれるものにしているだけではなく、ストーリー背景や登場人物の性格までもが動きで表現されている。またBGMに動きをあわせたテンポの良さが原作の持つ痛快時代劇の特徴を前面に押し出し、爽快感ともいえる心地よさを視聴者に与えている。
「村上元三の『次郎長三国志』と虎造の浪曲をミックスした設定で、自分で出来る限りのテレビアニメタッチで作りました。時代劇の手垢のついた感じを、むしろ殺さずに体温のあるカッコよさみたいなのをねらっていた気がします。かっこいいというのは顔じゃなくて中味だー!みたいな。」(日暮里本社氏)
様々な修羅場を潜り抜けてきた男たちの生き様を本作から感じ取ることができるのではないだろうか。
・Poo’s WORLD