【CloseUp Flash Reloaded】IOSYS特集1


インディーズで活動されている音楽サークルからFlashによるPVが公開されることも珍しくなくなっている現在、PVがきっかけとなり爆発的なブームを生み出した音楽サークルがある。それがイオシスだ。上海アリス幻樂団の『東方Project』のアレンジCDのPVが動画共有サービスに掲載されてから、様々なMADムービーが制作され、その人気の高さによって『超!アニメロ』で着うたが配信されるまでに至った。今回は爆発的なブームとなった楽曲やPVなどの制作経緯や今日までの盛り上がりをどのように受け止めているのか、イオシスのメンバーとPVを制作されたlocker room productionのカギ氏による座談会の模様(前編)をお届けする。



患部で止まってすぐ溶ける ~ 狂気の優曇華院

東方ProjectのBGMをアレンジした音楽アルバム「東方月燈籠」の2トラック目に収録。ノリの良いBGMにあわせてゲームネタや2ちゃんねるネタなど様々なパロディを織りまぜていることから、後に紹介する「魔理沙は~」と並んで数多くのMADムービーが生み出されている。なお同曲はユーザ投票によって行われた2006年電波ソング大賞で6位を獲得している。




UG-K
はじめに皆さんの自己紹介をお願いします。

quim
quim(きむ)です。現在は、イオシスでウェブプロモーション企画などの裏方を主にやっております。
あとは、ヴォーカルをリストラされたのでヴォーカルものの裏で合いの手を入れたり思いついたように作詞をしてみたりしております(笑)

ARM
ARM(あーむ)と申します。音屋です。ごっすんの曲のアレンジやりました。
イオシスの活動は初期の頃から関わっていて、もう8年くらい音作り続けてます。曲作りの方法としては打ち込みが基本ですが、一応程度にはピアノとドラムとギターとベースが弾けます。

夕野ヨシミ
作詞とかやってます夕野(ゆうの)ヨシミです。イオシスの東方アレンジCDのプロデューサーをたまにやってます。自称女子高生です……うそです。尊敬する作詞家は畑亜貴です。

カギ
カギです。Flashが大好きな不良学生です。最近はイオシスの方から依頼を受けて音楽PVを制作したりしてます。

UG-K
イオシスが設立されたのはいつ頃でしょうか?

夕野ヨシミ
平成10年10月10日ですね。1998年です。

UG-K
皆さん当初から参加されてたのでしょうか?

夕野ヨシミ
最初は10人くらいだったと思います。いまはもっとたくさんいます。

ARM
ARM、夕野は設立当初というか、その前からも含めメンバーでした。
quimは・・・2年前くらいだっけ?

quim
ダグラの冬からとカウントすれば…2001年くらい?

ARM
カギさんは、quimが口説き落としたんですよね♪
逝ってよし2005の時だから、2005年冬からのおつきあいだね、僕たち。

quim
もう平身低頭で頼み込みました。

カギ
でもお話がきたのは2006の春ですよ。

quim
そう。実はまだ1年チョイなのよ。お願いしたキッカケは、カギさんの「NANAMECITY」を見て、びびっと来てしまったので(笑)

ARM
カギさんはイオシスのPVフラッシュを沢山…6作品?作っていただいているんですが、一応外部というかゲストでお願いしている、という形になっております。

quim
カギさん、この1年チョイで6作も作ったのかよ(笑)

カギ
6つも作ってるのか…

UG-K
凄いペースですね。

カギ
それだけの稼働を強いるひどいサークルですよ(笑)

ARM
ね、quimさん(笑)

quim
いやいや、いつも
『カギさんもう手を止めてぇ!』
『うるせークリエイターがスイッチ入ったら暴走特急なんだよオラァ』
みたいなやり取りしてますよ(笑)

カギ
なんという印象操作…


UG-K
PVの構成とか中身に関しては、イオシス側から要望とかあったのでしょうか?

カギ
基本的には楽曲をいただいて好きに作らせてもらってるって感じですね。参考にラフスケッチとかアップしたりもしますけど。

quim
ここんとこは、音とFlash同時にスケッチをあげて進めてるよね。

ARM
ARMから見てる制作プロセスは、結構うまいこと連動できてると思っています。
まずは楽曲が最初ですね。制作途中のスケッチをどんどんファイル化して、カギさんに送るようにしています。

カギ
そうですね。最初もらう曲はARMさんの声で入ってることが多いんで楽しいんですけど(笑)
最終的に凄いクオリティの曲になるんでこっちも気合いが入ります。

ARM
歌ものだと恥も見栄も捨てて仮歌吹き込んでるんですけどね(笑)
それで、本番のレコーディングが終わったあたりから、quim氏との蜜月の打ち合わせが始まるんです。

カギ
密会ですよね。

quim
(笑)

UG-K
楽曲とFlash並行して完成させていくスタイルなんですね。

quim
大体カギさんのアイデアが枯渇したらテコ入れのためにアイデアをブレストして、それでも進まなくなったら『この日までに上がらなかったら家に押しかける』とかそんな感じで(笑)

カギ
quimさんマジこええ。幸い「合宿」になったことはないですけど。

ARM
えーとそれで、完成間際になった時点で、イオシスメンバーに公開して頂き、大鑑賞会になります。


UG-K
皆さんは関東在住なのでしょうか。

ARM
夕野は札幌です。
ARMは…所在地不明?(笑)

quim
僕とカギさんは東京です。

UG-K
なるほど。HPのプロフィール見ると北海道在住の方もいたので…
そういった場合、創作活動で困ることとかないでしょうか?

quim
距離のハンディを埋めるためにメッセの他、電話連絡を密に取ってますね。

ARM
要するにレビューでして、作詞の夕野やイオシスメンバーがアレコレ言わせて頂いて、心の広いカギさんがそれらを取り入れて、最終的に形になりますね。

カギ
ふふーん。基本的に即売会は東京ですしねぇー。

quim
即売会の他、東京のヴォーカリストさんに歌っていただくレコーディングなどで、夕野が東京に来てもらってそこで打ち合わせをすることもやってますね。

quim
ま、殆ど会場は居酒屋ですが(笑)

夕野ヨシミ
( ・д・)ウンウン

quim
次の日昼からレコーディングあるのに気が付いたら空が明るいとか(笑)


UG-K
これまでリリースされたCDをみるとゲームアレンジだったり、ラジオだったり、2ちゃんねる系とか多種多様なカラーがありますよね。
これらの曲作りはメンバー全員で1つの楽曲に取り組んでるのでしょうか? それともいくつかのグループに分かれて活動してるのでしょうか?

ARM
アレンジ・メロライン作りは一人一曲ですねー。曲によっては、イオシスメンバーの俺-1君のようにギタリストにギター旋律自体を出してもらって、コラボのように作る場合もありますね。

quim
基本的に1枚のCDでも色々なジャンルの楽曲を入れるということが多いので、ソロワークのCDを出すって余りありませんねえ。

ARM
作詞は別なことが多いです。

夕野ヨシミ
作詞は、たとえば私が一人でやることもあれば、私と誰かが組んで2人でやることもあります。

夕野ヨシミ
「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」は、ARM・夕野2人で作詞だったと思います。

quim
ごっすんって言葉を考えたのはARMだっけ?

ARM
えーと、そのあたりはどうだったかな…

カギ
すごいインパクトだ。


UG-K
では次にPVについてですが、以下の3作品についてFlash、楽曲双方の面から制作にあたってのポイントや苦労した点などをコメント下さい。
まずは「患部で止まってすぐ溶ける ~ 狂気の優曇華院」についてはどうでしたでしょうか?

quim
さあカギさん、存分に語るが良い!

カギ
あっれっはねぇ…

ARM
ドキドキ

quim
ワクワク

カギ
まぁタイトルの通り狂気な曲が送られてきて「どうしよう…」と思ったのが最初(笑)

ARM
元曲が3拍子と4拍子が混じってたんですけど、4拍子に統一してみました。後は自分が狂気に陥っていくばかり割と曲はすんなりできましたね。

ARM
っていうか、歌じゃないので楽だったのかも。

夕野ヨシミ
作詞は1時間でできた。

ARM
原曲聞くと割と奇麗めの曲なんですけど…よくもまぁあそこまでやってくれますよ(笑)

quim
ポイントというと…どこなんだろう?

カギ
アレはホント短い期限の中で自分も狂気に陥りながら制作したことしか記憶にない(笑)

ARM
そうだそうだ、曲中に飛び交っているファミコン的なSEは、イオシスのD.watt君の力作です。

quim
D.watt(でぃーわっと)は、ARMと同じくイオシス音楽メンバーですね。

ARM
やー、俺としては作詞の夕野にも言ったんですけど、小学生うんぬんのくだりが入れられればもう…(笑)

カギ
一番苦労したのは間奏ですかねぇ。いつもそうなんですけど。歌の入ってる部分はある意味それに合わせて動きを作れるんだけど、間奏は自分でネタをひねり出さないとキツイ。

ARM
それだけでドンドコ組んでいきました(笑)

quim
で、難産の末DDRに…あれは傑作だった(笑)

カギ
何でDDRにしたんだろうなぁ…

ARM
引き出しが毎回意外で、すごい楽しみ。


UG-K
では次に「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」はいかがでしょうか?


(次回に後編をお届けします)