【CloseUp Flash Reloaded】FLASHアニメーションライブイベント うらはくレポート(後編)


2007年1月20日、大阪心斎橋のFANJにて「うらはく」が開催された。イベントの模様をお伝えした前回に続き、今回は本イベントの主催者であるみのぷう氏にイベントの所感と今後の展望について伺ったインタビューをお届けする。



UG-K:今回のイベントの特色についてお聞かせください。

みのぷう:今回のイベントは、今までFLASH EXPO(略してフラハク)を支えてくださったスタッフへのお礼という意味合いと、今まで何らかの事情によって来場がかなわなかった方たちの要望に何らかの形で応えられないかという意味で「それならイベントにしてしまおう」というのが根本にありました。

みのぷう:もともと非公開の作品が多いフラハクの作品は一度きりの上映というスタイルの為に
「いけなかったので見れなかった」
「見たけどもう一度見たい」
という要望が多く、それに応えるためにはイベントをしないといけない。でも、やるからには何か新しい試みも加えないといけない…ということでトークなどを今までのフラハクから大幅に変更して構成したのがうらはくです。

UG-K:なるほど。スタッフの数や準備期間はどれくらい要しましたか?

みのぷう:運営を4人増やした8人だけでやりました。現場スタッフを入れてもたった11人です。これだけの人数で3ヶ月かけて行いました。フラハクが半年以上の準備がかかることを考えると、大幅に短縮かつ効率的なイベントだったと思います。

UG-K:少ないスタッフと短い期間で実現されたイベントということですが、大変だったことはありますか?

みのぷう:今回は、イベントを行うにあたって若い人がそれを行えるように育てるというテーマがありました。旧運営陣がやればすぐできることをあえて新しい運営にやらせたりしたので、そういう意味ではちょっと大変だったかもしれません。でも皆がちゃんと仕事をしてくれたので、予想以上に楽だったのが本音です。旧運営がイベントに慣れてかなり効率がよくなったという点もありますね。

UG-K:イベントを引き継げる体制を作り上げるという目的もあったのですね。

みのぷう:最近イベント主催してる人達と話してる中でよく話題に上る議題が「若手の台頭の無さ」なんで。

UG-K:確かにオフラインイベントというとやはりFlashブームが生まれた頃に活躍したメンバが中心ですよね。

みのぷう:今のクリエイターもイベンターも含めて若い人に引導を渡して欲しい気持ちもあるんですよ(笑)



UG-K:観客層の割合はどんな感じだったでしょうか?

みのぷう:こっちの予想に反して新規の方が多かったです。男女比はこの手のイベント特有の男9に女1くらいですかね。でも、他のイベントより女性は多い気がします。

UG-K:でも新規の人が多かったっていうのは、イベント開催の目的である行けなかったという要望に応えられたのではないでしょうか?

みのぷう:その点からいうと今回のイベントは少し敷居が高かった気がします。もうちょっと初めての人に向けたイベントにできたのでは? というのが今も悔やまれる点ですね。

みのぷう:ただ、リピーターの人達がFLASHをじっくり見るスタンスでイベントに臨んでる人が多かったので、ノリとして落ち着いたイベントになってしまいました。悪くはないんですが、初めての人には異様な雰囲気だったかもしれません。

UG-K:なるほど。司会としても活躍されたみのぷうさんから見て観客の雰囲気や盛り上がりはどうだったでしょうか?

みのぷう:フラハクの異様なノリノリ感より、皆が腰をすえて作品に挑んでいる感じだったので「こんな酷い内容のFLASHばかりなのに…」と思いました(笑)

みのぷう:レベルの高いところで酷いネタをぶっ放すのがフラハク系の特徴なので、あそこまで冷静に見られるとクリエイター含めてやる側としては恥ずかしかったりします。現に青池さんは、自作品の上映のとき恥ずかしそうに顔下げてました(笑)



UG-K:作品内容についてですが、凄いのだけどいろいろな意味でヒドイものが多くありました。公開することに抵抗を感じることはなかったでしょうか?

みのぷう:当然あります(笑)

みのぷう:内容によっては一般公開が当然不可能な作品が多数あります。だからこそ、サイトやイベント中などで徹底してネタとして笑い飛ばせるように構成には気をつけています。クリエイターの欲望に応えるのも運営の仕事だと考えています。

UG-K:クリエイターの欲望といえば、作品内容からクリエイターが普段抱えている不満を発散しているような印象が見受けられました。

みのぷう:Flashというツールはこれからまだまだ伸びるツールとは思いますが、ブームというのは上に伸びると同時に底辺が安定することが大事だと思います。そういう意味で、あくまでフラハクはあえて底辺に居続けるイベントでありたいというテーマがあるので、逆にアングラ的要素が一部の有名クリエイターの欲望発散の場として好意的に受け入れてくれているんだと思います。

みのぷう:でもまあ「フラハクなら何やってもいいや」という風潮が強いのは否めませんが(笑)

UG-K:クリエイターにとって息抜きとなるイベントでもあるわけですね。

みのぷう:そうですね。いま第一線で活躍している人達も好きでFLASHに関わった人が多いですから。最近の企業関係で活動している人達はフラストレーションが溜まっていそうですしね(笑)



UG-K:今回Masquerade作品やメゾン斉藤さんの作品などいろいろなサプライズがありましたが、どのような経緯で決まったのでしょうか?

みのぷう:Masquerade作品は、もともと運営のGarniさんと相談して決めていました。Masqueradeにもmicromediaが支援しつつ、フラハクにもMasqueradeが協力する。最終的に「白作品=マスカレ」、「黒作品=フラハク」の形で移行できればという趣旨がありました。

みのぷう:メゾン斉藤さんなどサプライズに関しては、こっちが言わなくてもイベントをやるという噂を聞くと、いつも驚きの人達が作品提出を申し出てくださるんです。こっちは気楽にやろうねって言ってるのに、ラインナップを見たら「こりゃちゃんとイベントやらねえといけねえな…」って(笑)
一種のクリエイターによる脅迫です(笑)



UG-K:さいごに今後の計画についてですが、フラハクの方は今年開催されるのでしょうか?

みのぷう:フラハクについては正直、他のイベントとの共存を考えると今年はやるチャンスがない気がします。ですが、何らかの形でやることによってFlash業界が活性化するのであればやってもいいと思いますし、結局イベントというのはクリエイターと観客によって作られるもので、運営はそれを代表して作業してるだけですから。皆さんの要望次第という感じでしょうか。

みのぷう:フラハクだけでなくflash★bombも映夜祭もJAWACONでさえも情熱が飽和した結果生まれたイベントだと思ってるので、皆ネットの人達は情熱をぶつけるのが下手な人が多い印象ですが、下手でもいいからもっともっと表に出してぶつけてほしいですね。

みのぷう:恋愛と一緒でやる側も結構鈍いっすから(笑)

UG-K:クリエイターと観客双方の期待が高まった時にイベントが開催されるというイベントの本質が見えた気がしました。また近いうちにフラハクが開催されることを期待してます。本日はどうもありがとうございました。

みのぷう:ありがとうございましたー!