【CloseUp Flash Reloaded】春の風物詩をテーマとしたストーリー
新学期・新年度を迎えた4月は生活環境が変わったり、新しいことにチャレンジしたり、何かが始まるスタートの季節である。CloseUp Flashをご覧頂いている皆さんの中にも、新たな生活や活動を始めた人も数多くいるだろう。そこで今回は春のこの時期ならではの風物詩をテーマとした特集第1弾として、進学・就職をテーマとしたFlashムービーを紹介しよう。
■りれきしょ
制作者の就職活動の一環で「自己PRを可視化する」というテーマを元にして制作された物語。履歴書そのものを舞台にラクガキしたキャラクタが突然動きだし、これまでの活動を再現することで自分の夢を再認識させる演出が清々しく描かれている。
「履歴書というのは自分自身の過去(経歴)、現在(趣味、特技)、未来(志望理由や将来の夢)といったものを一つにまとめてアピールするものだと思い、自身のできるFLASH制作の技術とあわせ「飾らない、自分自身の正直な気持ち」を見る人にわかってもらえるよう努力しました。今回はそれにあわせアニメーションもシンプルながら細かな動きに気をつけました。」(暇津氏)
シンプルであるが故に、建前でない本音がストレートに伝わってくる作品だ。
・スタヂオひまつぶし
■想い桜
桜の木に託す一つの想いと、決意を描いた物語。桜といえば花見や入学などを思い浮かべるが、本作品はそんな季節の移り変わりとは反対に、時が止まってしまい一人取り残された物悲しさが描かれている。しかし取り残された人は生きている以上前に進まざるを得ないため、過去に囚われた自分との決別を意識する。そんな想いを後押しするかのような桜の散り様がなんとも印象的だ。
「忘れられない想いを無理に忘れる必要はなくて、大切な想いは心にしまったまま悲しみとだけ決別すればいい。そんな気持ちを誰かに少しでも伝えられたらと思い、このFLASHを制作しました。ただ切ないだけではなく、見た後に心がそっと暖かくなれるような作品を目指しました。」(ぽけっと森氏)
セリフや動きを最小限に抑えたシンプルな映像であるがゆえに、そこで伝えようとしているモノを探りだそうと思いを巡らしてしまう作品である。
・ぽっけ森
【CloseUp Flash Reloaded】キャラクターの魅力が光る個性的Flashムービー
Flashムービーに限らず映像作品を印象づけるのに大きな役割を果たしているのはキャラクターが持つ個性である。昨年大ブレイクした「やわらか戦車」や「秘密結社 鷹の爪」も作中に登場する個性的なキャラクターが人気の大きな牽引力になったのはいうまでもない。しかしインターネット上には、これらの作品以外にも様々な個性あふれるキャラクターのFlashムービーが存在する。そこで今回は、個性的なキャラクターが登場するFlashムービーを紹介する。
■3歳シリーズ
FLASHで綴る家族日記をコンセプトとしたドキュメンタリー。日常の中から生まれた様々なエピソードが紹介されこれまでに100作品以上が公開されている。ブログなどを使った育児日記は数多くあるが、それをFlashムービーで実現したものとしては初のケースと言えるだろう。デフォルメ化されたキャラクターが起こす様々なハプニングが微笑ましく、家族愛に満ちあふれた温かさが感じられる。これだけ多くの作品を生み出した原動力は何なのか、制作者のG-STYLE氏に伺ってみた。
「単にネタが尽きないし作りやすいというのが今まで続いてきた理由だと思います。下の子が産まれる直前から作り始めて既に3年が経過しました。その時産まれた次男はもう3歳です。毎日色々な事をやってくれるので慣れてしまった部分もあります。当初は制作に1日かかったりもしましたが、今では2時間足らずで完成です。」
このようにして生まれた3歳シリーズは、老若男女問わず広く親しまれ、現在では書籍「3歳シリーズきちゅび2」をはじめ、ストラップやマウスパッドなど様々な商品化が展開されている。しかも書籍以外のロイアリティは全て乳児院に寄付されている。
「3歳シリーズは企業が絡む商売としてではなく、個人で何がどこまで出来るのかをやってみたかった実験的な要素もあります。結論は『沢山の人と支え合って行かなければ上手く行かない』といった所でしょうか・・・
おかげ様で色々な人と出会う事が出来ました。私にとってこの数年間は素晴らしい人生経験となりました。」(G-STYLE氏)
最近も今月に発売された『蛙男商会の本』にトリビュート作品を寄稿している。一体どのような作品となっているのだろうか。
「3歳シリーズでは初となるフルボイス版です。今回は勝手に鷹の爪団・関西支部を開設、団員を募集するという内容ですが一番のメインは嫁のエッチなあえぎ声です。ちなみに吉田君と総統のセリフはどうしても適当な素材が無かったので自分で喋りましたが、吉田君は難しいですね。一応デラックスファイターとフィリップも出来るようになりました。」(G-STYLE氏)
これからも様々なシーンで3歳シリーズを見かけることができるかもしれないので期待したい。
・3歳シリーズ
■mofu☆mofu
無邪気で、人なつっこくて、ちょっと寂しがりな、宇宙生物“モフモフ”。そんなモフモフと、双子の少女が出会って心を通わせる物語。特徴的な形をしたキャラクターや曲にあわせたミュージカル風味な展開など作品から明るく楽しい雰囲気が全面に押しだされている。
「ショートアニメを作ってみようと思い立った時、右も左もわからなかったのですが、へたくそでも何でもとにかく自分が楽しんで作ろう!と心に決めました。そこでまず、好きなものをまず羅列してみました。
すると、“ちびキャラ・小動物・ツインテール・ワンピース・ピンク・みたらしだんご”と、アイテムが出そろいました。そこからは歌ったり踊ったりしながらFLASHをつっついてたら、いつの間にかあんなのが出来ていたという感じです。」(ちぃ氏)
今後はモフモフ星の仲間を色々登場させ、双子とモフにいろんな冒険をしてもらいたいと語るちぃ氏。本シリーズの第2話が近日公開されるそうなので楽しみである。
・vitamin+chi
【CloseUp Flash Reloaded】GIFアニメーションから生まれたFlashアニメ
Webで見かけるアニメといったらGIFアニメであった時代がある。GIFアニメの歴史は古く、アニメーション効果を持った画像形式である「GIF89a」がサポートされてからナローバンド時代におけるWebアニメーションの中心であった。その系譜は現在も活動している動画コミュニティ「大日本動画帝國」から伺い知ることができる。その後、ブロードバンド化によりクリエイターの多くは、GIFアニメからFlashやMovieへと制作の場を移してきた。今回はそんなGIFアニメの技術を基盤としたクリエイターの作品を紹介する。
■海からの使者・前編
本作は、2000年ごろからスタートしたGIFアニメシリーズ「機動戦士のんちゃん」より1つのエピソードを描いた「雨に抱かれて」の続編である。父親に叩かれる少女を守るために立ち上がったのんちゃんが、暴力や虐待が横行する世の中に心身ともに傷つくところから物語は始まる。
『もう戦いたくない、この国を出よう』
失意のどん底にあったのんちゃんは、海岸で助けたカメに楽園行きを勧められ家出を決意するが、待ち合わせ場所でのんちゃんが見たものは、巨大ガメが故郷を破壊する光景だった…。
特筆するべきは、GIFアニメを制作されていた頃から注目されていた動きに対するとてつもないクオリティである。特に後半の巨大ガメが歩くシーンや破壊される街並みなどは重力感に満ちあふれ、制作者の動きに対する飽くなき追求心が感じられる。
「今回から After Effects を使用していますが、制作方法はGIFアニメと同じ、パラパラ漫画の手法。作画に関しては、毎回自分に課題を設けて取り組んでいます。JAWACONのスクリーンで上映される事が決定していたので、極力緻密に、大画面での鑑賞に耐えられることを目標にしました。結果、制作日数が大幅に延びて、後半部分の完成が遅れていますが、幸いなことに制作を辛いと思ったことはありません。いつかFLASHでも作ってみたいですね。」(のすふぇらとぅ氏)
現在サイトに公開されている後編の予告ムービーから、さらにクオリティに磨きがかかっていることを伺い知ることができる。後編の完成を期待したい。
・活動漫画館
■次郎長三国志
清水次郎長伝のアニメ化を想定したオープニングムービー。登場人物の紹介から始まり宿敵の黒駒一家とのバトルを描いている。ダイナミックな構図とカメラワークが、登場人物の動きを躍動感あふれるものにしているだけではなく、ストーリー背景や登場人物の性格までもが動きで表現されている。またBGMに動きをあわせたテンポの良さが原作の持つ痛快時代劇の特徴を前面に押し出し、爽快感ともいえる心地よさを視聴者に与えている。
「村上元三の『次郎長三国志』と虎造の浪曲をミックスした設定で、自分で出来る限りのテレビアニメタッチで作りました。時代劇の手垢のついた感じを、むしろ殺さずに体温のあるカッコよさみたいなのをねらっていた気がします。かっこいいというのは顔じゃなくて中味だー!みたいな。」(日暮里本社氏)
様々な修羅場を潜り抜けてきた男たちの生き様を本作から感じ取ることができるのではないだろうか。
・Poo’s WORLD