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【CloseUp Flash Reloaded】映像ライブイベント slashup04特集2
2007年8月18日、新宿ロフトプラスワンにて『slashup04 fb Re:birth』が開催された。前回に引き続き、今回も作品紹介並びにイベント主催者であるas@地生氏に伺ったインタビューをお届けする。
■夢の波間
白い大地の上で目覚めた女性が向った先で様々な建築物と巡り会う…。夢をテーマとしているため非常に抽象的だが、イマジネーションの広がりを感じずにはいられない不思議なアニメーション。
「今回の夢の波間という作品はタイトルに「夢」と入れているように、寝ているときに見る「夢」を舞台にしています。主人公の女性は自分の夢の中をさまよっているという設定です。そしてタイトルにある「波間」は、夢の中での昼間や睡眠の波、時間の経過などを指す言葉として使いました。
夢が舞台ということで、自分が夢の中で見たものを反映させたり、思いついたものを思ったままに突っ込んでみたりしています。今回は特に考えなしに見れる出来にもしたつもりなので、力を抜いて見ていただければ幸いです。」(おぎしろ氏)
ブログで本作品の世界観やアイデアの詳細が解説されているのでこちらもあわせてご覧頂きたい。
・Holography
■「無題」
額縁を通して映る淫靡で奇怪な映像の中から湧き出てくる虫を潰していく印象的なムービー。映像をよく見ると額縁の中からこちらを見つめている目が描かれていることがわかる。額縁の中での映像は自分の記憶なのか欲望なのか、もしくは全く違うものかもしれない。ただその中で第三者的な視点で見つめる目と虫を潰すという行為が背徳的な欲望とモラルの狭間に揺れる心の葛藤を表しているように思えてならない。
「この作品を見て僕は小さい頃に石をどけたら蟻さんがいっぱい出てきて白い卵が沢山あって気持ち悪かったことを思い出しました。
あとシャボン玉みたいな薄い球体のガラスがあってその中に猛毒の液体が入っててそれをちょっとでもぶつけたりするとガラスが割れて毒が漏れて死んでしまうという夢を見たのですがしゃぼん玉からはそんな不吉な連想をしました。
あと女の人が出てきますが誰かの手に押されて溺れているのか苦しんでいるのか分からないのですがゴホッゴホッと苦しそうな咳をしていて、ちょっと嫌な感じがしました。」(制作:ぴろぴと氏、絵:水形氏)
・ありさんとくらげさんがごっつんこ
・水形の骨
【CloseUp Flash Reloaded】映像ライブイベント slashup04特集1
2007年8月18日、新宿ロフトプラスワンにて『slashup04 fb Re:birth』が開催された。イベントの模様は先日のレポートでお伝えした通りだが、今回は9/1より公式サイトでオンライン公開された上映作品のいくつかをピックアップし、作品紹介並びにイベント主催者であるas@地生氏に伺ったインタビューをお届けする。
■幻妙夜話
映像の冒頭で脚本担当であるミスターXの正体がいきなり明らかになる日暮里本社氏による長編物語。情緒あふれる日本の古き時代を舞台に一人で留守番をする少女“志乃”の前に表れた妖怪が語る「知らせ小鬼」のエピソードは上映されたイベント会場を不思議な魅力に包んだ。“つづく”と言うラストで締めくくられているので是非シリーズ化に期待したい。
「同じ脚本でも、料理の仕方で結果に差が出るはずだと自分に言い聞かせながら作りました。また、ドラマ風のつくりはほぼ初めてだったので、タイミングや見せ方などかなり苦労しましたが、同時に大変勉強になりました。
以上を一言で言うと、原作物は二度と御免…じゃなくて、それなりに難しいなあという感じです。」(日暮里本社氏)
・ザ・ガーベージ・コレクション
・Poo’s WORLD
■Infina
一瞬の星の煌めきのように瞬きする間に表れては消えていく様子はまるでBGMを奏でている音符のようであり、そんな光と音の旋律に酔いしれてしまいそうになるMotionGraphics作品。前半は4小節ごとに1つ1つのオブジェクトをモノクロでじっくり見せ、後半も色彩豊かで流れるようなモーションの緩急が心地良いイメージを与えています。
「Perfect Promotion’07直後という日程に絶望しつつ、必死で制作しました。またmtr氏の曲とのコラボは二度目なのですが、実は『Infina』というタイトルもmtr氏が考案したもので『際限・境界のないもの』という意味らしいです。」(yama_ko氏)
・yama-ko.net
【CloseUp Flash Reloaded】ほしのの。特集
いよいよ夏本番を迎えた今日この頃、今の季節にちょうどぴったりなFlashムービーを紹介しよう。本作品は、先月より週刊で公開された全4話のVisualFlashNovelである。栃木県の星野町を舞台に事故で両親を亡くした主人公の少年『川島結城』と引き取り先の親戚の娘で従姉にあたる『和泉榛奈』を中心に描かれた物語だ。今回は、本作品の紹介と共に「むきりょくかん。」の吉村麻之氏に制作秘話を伺った。
■ほしのの。 第一話 夏夜
両親を交通事故で亡くした主人公・川島結城(ゆーちゃん)は、父方の実家に預けられることになった。突然両親を失うという境遇を受け止められず喪失感に覆われる彼は、身の回りの環境全てをどこか疎ましく思っていた。そんな中、おせっかいながらも献身的な従姉・和泉榛奈(はるねぇ)の態度に少しずつ心を開いていく。田舎の緩やかな時間の流れと人々の優しさがストーリー全体から感じられる一話だ。
「第一印象は何よりも重要。とにかくリアルな田舎っぽさが出したかったので、最初のシーン(夏夜)は効果音の一つですら調整に調整を重ねていたりします。椎茸打ちに夕顔の皮むきと、他ではまず見かけないであろうシーンを書けて楽しかったです。お気に入りなのは川遊び後に縁側で寝転がるシーンだったり。
グラフィックも前作の“ごがつのそら。”の時よりも綺麗に精細になっています。神明みのりに水着を着せない事は、恐らく一話で最もこだわっている箇所かと思います(笑)
また、全体に言える事ですが、BGMとは別の、環境音(蝉の声とか)をムービークリップを使って流しています。普通のノベルゲーム作成ツールでは環境音の表現は難しく、Flashノベルの利点の一つとも言えるかもしれません。文章で『夏だ』というよりも、ミンミンゼミの声を聞かせた方が生々しく“夏”を感じられると思っています。」(吉村麻之氏)
■ほしのの。 第二話 冬蛍
星野の家に住むようになって二年の歳月が経った。すっかり和泉家にうち解けた川島結城は高校へと進学し、一般の高校生と同じく青春真っ只中の生活を過ごすようになっていた。はるねぇとの信頼関係が深まり、移り変わる季節と共に彼女と過ごす穏やかな毎日が描かれている。そんな中、はるねぇは元々弱かった気管支の悪化により向った病院先で思わぬ病気を宣告される…
「冬蛍は作品内にて最も綺麗なシーンであるため、かなり力が入っています。(逆に文化祭はアバウトです(笑))
写真家の方にお願いして、物凄く綺麗な冬蛍の写真を使わせていただいた事が、最も大きいポイントだったと思っています。強烈な寒さの中に灯る蛍が見せられたなら幸い。あと、セーラー服は正義です(笑)。」(吉村麻之氏)
■ほしのの。 第三話 嗄声
声帯麻痺による影響は、生活環境に様々な変化をもたらしていた。回復する兆しの見せない病と手術に対する怯えから強がりを見せつつも鬱ぎ込みがちになるはるねぇに、三年前の両親との死別の時に励ましてもらったように、次は自分の番だと固く決心する川島結城。自分をもっと頼って欲しいという想いを伝えたいことから、思わずはるねぇを強く抱きしめてしまう。この行為が後の二人の心理的な変化をもたらす重要なポイントとなっている。
「左反回神経麻痺(声帯麻痺)。医学に関して私は完璧な素人ですのでリサーチが大変でした。発声不能ではなく、発声困難。治療不可能ではなく、治療可能。自然治癒すらありえる。よくもまぁ、こんなドラマチックになり辛いものを選んだものだと思っています。
ホワイトボードは、いつかグッズ化してみたいなぁと企んでいます。(笑)」(吉村麻之氏)
■ほしのの。 第四話 星待
河原での事故を機に声帯麻痺の手術をする決意をしたはるねぇ。手術前日に出向いた夏祭りを目一杯楽しみつつも不安が積もるはるねぇは、結城と共に近くの山に登って行った。満天の星空の下、流れ星に願うのは病の回復だけでなく、病によって接近した二人の距離感だった。そんなはるねぇの想いが不安と共にあふれ出すシーンが、事細かに描かれていて感動を呼び起こさせられる。
「苦労した点は全てです。公開日までずっとシナリオとにらめっこでした。奇跡の起こらない地味な話で、どーにかして読み手を泣かせたかった苦悩がたっぷりと入っています。また、スタッフロールには沢山の苦労が詰まっているので、何度も聞いてもらえると嬉しいです。
自作品では初めてエンディングに歌を使ってみたりもしていますね。最後のイラストは抜群です。イラスト担当のジャムる?さんから受け取った時は思わず床を横転しました。(笑)」(吉村麻之氏)