【CloseUp Flash Reloaded】『ズモモとヌペペ ふしぎなまきもの』著者 ルンパロ氏インタビュー


2008年6月28日、講談社より『ズモモとヌペペ ふしぎなまきもの』が発売された。この本の著者は、Flashに関わる人であれば恐らく誰もが知っているルンパロ氏。
FROGMAN氏やラレコ氏がデビューするキッカケとなった2005年に開催されたインディーズアニメイベント『JAWACON』の主宰をはじめ、『shockwave.com AWARD2004 グランプリ』『NHK BS2「デジタルスタジアム」ベストセレクション』『2005年オタワ国際アニメーションフェスティバル入選』といった受賞暦があるなどクリエーターとしても有名であるルンパロ氏が、なぜ今回児童向けの書籍を出すことになったのか、その想いを伺ってみました。

≪対談者プロフィール紹介≫
【ルンパロ・チータ】
インターネットのアニメで多くのファンを持つ大阪在住のクリエーター。その作品は、shockwave.com.AWARD2004でグランプリを受賞したり、NHK「デジタルスタジアム」でファイナルに残るなど、高い評価を得ている。本作で作家デビュー。

【UG-K】
ここを読んでくれている人なら当然知っているCloseUp Flashを支えるFlashニュースサイト「イイ・アクセス」管理人。今回の対談のまとめ役。



UG-K
書籍出版おめでとうございます。まず今回書籍化することになった経緯についてお聞かせ下さい。

ルンパロ
講談社の担当さんがルンパロの「フルスロットル・マイナス」を見て連絡いただいたことから始まったのですが、独自原作で企画を出すよう勧めていただき、今回オリジナル原作で作品を出させていただくことにました。


UG-K
企画から今回出版に至るまではどのくらいかかったのでしょうか?

ルンパロ
最初に荒いシナリオ(ほとんど絵)を出して話合いをしたのが、2006年半ばぐらいだったと思います。
そこからこの作品をどのような形で書籍化していくのかの検討を重ねて骨子を決めてから、今の形の書籍に落とし込むことが決まり出版された経緯となります。

UG-K
ストーリーの概要はどのようなものでしょうか?

ルンパロ
丘の上にズモモとヌペペがおうちを立てて一緒に生活しだすところからストーリーははじまります。
しかし、その界隈はとても不思議な場所で、とても妙な者たちが住んでいまして、今回登場するのは「まきものを探している一族」。

ルンパロ
そのまきものをヌペペが先に見つけておうちに持って帰ってしまったら、さぁ!大変! まきもの争奪戦のバトルがはじまります。

UG-K
ストーリーの見どころはどのようなところでしょうか?

ルンパロ
もとより、ルンパロ作品は「ドタバタ喜劇」なんですが、その風合いをどうすれば書籍でも感じてもらえるのか?という点で頭悩ませましたが、最終的にはやはりドタバタ喜劇になっちゃいました。(笑)

ルンパロ
元々ズモモとヌペペには、二人が出会う前の生い立ちなどかなり複雑な事情のバックストーリーがあります。
今回の書籍では、ふたりが出会ってからのドタバタした日常からスタートすることになりましたが、それは、ふたりの性格が良く解るシーンからはじめさせていただいた感じです。

ルンパロ
とてもワガママだったりと、個々の性格を知っていただいて上で先のストーリー展開の中で、個々の生い立ちについても触れていきたいと思っているのですが、このズモモとヌペペの一番のキーになっているのは「信頼関係」で、全体を包む雰囲気は「仲良く、そして、楽しく」を全面に押し出していきたいと考えています。



UG-K
ズモモとヌペペというとFLASHファンにとっては、flashbomb’04で公開された「フルスロットル・マイナス」の活発なイメージが強いのですが、FLASHアニメと今回の書籍では、キャラクタの設定やデザインなどに違いはありますでしょうか?



ルンパロ
キャラクタやデザインは基本的には大きな違いはなく、フルスロットル・マイナスでもふたりは仲良しである前提でしたが、もめるとトンでもないことをしでかしてしまう。
でもそれは彼らの日常であって、仲良しであることになんら影響ないもの、という部分に作る楽しみを乗せた部分は同じです。

ルンパロ
ただ、今回の書籍では、お話を理解して読み進めていただくために、どうしても「セリフ」をしゃべらせる必要があり、フルスロットル・マイナスを知っていただいている方からすれば、その部分は「妙な違和感」を持つんだろーなーとニヤニヤしています。

UG-K
確かにフルスロットル・マイナスではセリフなしで動きでストーリーを見せてましたからね。そのあたりの違いを見てみるのも1つの楽しみかもしれませんね(笑)

ルンパロ
そうですねー(笑)

ルンパロ
UG-Kさん自身は違和感もたれます?

UG-K
それほど大きな違和感はないんですが、私自身はフルスロットル・マイナスのイメージが強いので、まず会話していること自体が「あ~こういう喋りをするんだ」というような感じで新鮮な印象を受けました。

ルンパロ
(笑)



UG-K
今回児童向けの書籍ということで、これまで作られてきた動画やイラスト制作と比べて気を使った点、また新たな発見などがありましたらお聞かせ下さい。

ルンパロ
気を使った点としては、1話1話を好き勝手に作っていたFLASHアニメ作品と違い、ストーリーの流れが大切になるので、状況設定とキャラ設定をしっかり固めなければならなかった点だと思います。しかしそれをしたことで自分の中でも明確になったことがあり、とても良い経験をさせていただいたと思っています。

ルンパロ
また全88ページ立て、実質87ページにわたりお話を割って描くのは大変でした。長い話を組み立てるのって大変ですねー。
漫画家さんや小説家さんってスゴイわ!やっぱ!と凹む気分を何度も味わいました。

ルンパロ
私の場合、細かな台詞まわしより、どうも映像のようにストーリー展開を考えてしまうので、それをページに落とし込むのに苦労したかもしれません。

UG-K
児童書ってセリフと解説が同時並行的に展開するところが特徴的で、漫画とも小説とも違う作りだと個人的には思うのですが、そのあたりの制作についてはいかがでしたでしょうか?

ルンパロ
その点は大丈夫です。漫画も小説もやったことないから、はじめて着手したこの書籍がデフォルトです(笑)
そういう意味では、書き下ろし形式になる今回のものって、むしろ完成物としては固め易いように思います。最終ページをひとつの区切りとして全体を眺められるように思いますね。作品の良し悪しは作り手の能力なので別ですが・・・(汗)



UG-K
今後のストーリー展開は既に考えられているのでしょうか。ルンパロさんのサイトでは既に携帯待ち受けがありますが、FLASHアニメ化など他のメディアへ展開する計画などがありましたらお聞かせ下さい。

ルンパロ
今後のストーリーについて、まだ詳細詰めきれていませんが一応3話まではできています。出してくれるでしょうか・・・講談社さん。
これが出ないとズモモとヌペペの世界にある概要が伝えきれません。「お願い!出させて!」って感じです。

UG-K
(笑)

ルンパロ
今後の展開については、元より書籍とウェブを連動させて面白いものを作っていきたという話を講談社担当さんが快諾してくれたことからスタートした企画だったので、いろんな方向からイメージ膨らませられるような面白いことをしてみたいですね。

ルンパロ
「書籍見てウェブを探したら、面白いものがアップされてた!」みたいな一粒で2度おいしいみたいなことしてみたいですね。何か良い企画ないですか?UG-Kさん。

UG-K
例えば本にQRコード埋め込んでキャラの裏設定やちょっとした再現アニメなどが手軽に見られると良いかなという気がします。

ルンパロ
そういうのって、面白いですよね。本屋さんで携帯バーコードリーダーをカチャカチャする人ばかり増えたら、それはそれで困るかもしれませんが(笑)

UG-K
実現できるかどうかは別として、絵の背景にわからないようにQRコード潜ませて、携帯カメラのQRコード読み取り機能を探知機がわりにして本をスキャンすると、あるところで反応したりするとゲーム要素が加わって面白いかもしれませんね。

ルンパロ
印刷してみたら、QRコードじゃない絵柄にリーダーが反応したら最悪に面白いですよね。全然知らないところに飛ぶの。

UG-K
まさにトラップですね(笑)

ルンパロ
そんなことしたら講談社の仕事クビになるんでしょうね。気をつけてつくらなきゃ。

UG-K
(笑)

ルンパロ
パケ放題がデフォルトになったら考えてみたいですね。



UG-K
最後にこれから購入を検討している方や既に購入された方にメッセージをお願いします。

ルンパロ
今の世の中を傍目で見ている一般人として…殺伐として暗い話題がひしめいている現代ですが、たぶん、子供って、そういったものの細かい意味が判らなくとも、感触としてなにかを感じ取ってしまう鋭敏なものを持っているように感じることが多々あります。
今回出させていただいた書籍は「自分は次の世代を担う子供達に何を伝えられるのか」ということを考えた自分なりの答えを描いたつもりです。

ルンパロ
明るく楽しく、そして仲良く。まだドタバタしたお話しか表現できていませんが一番描きたいのは「信頼の中で培われるもの」になります。
そのことを先々で感じとっていただけるよう、がんばって作品を作っていきたいと思っていますので、今回の書籍とともに見守っていただければと思います。

ルンパロ
しかし、小難しいことは置いておいて、まずは、たのしんでいただければと思いますので、機会あれば手にとって見ていただければと思います。
笑った子供の顔って大好き…それだけで充分かも。

UG-K
多くの人たちに笑顔とメッセージが伝わることを期待しています。本日はどうもありがとうございました。

ルンパロ
ありがとうございました。




将来を担う子供達に対する熱い想いが込められた書籍であることが今回のインタビューを通して感じられました。「信頼の中で培われるもの」…子供だけでなく大人達もつい忘れがちになってしまうこのメッセージ、ぜひお手にとって感じて頂きたいと思います。