【CloseUp Flash Reloaded】音と幾何学模様から生み出される躍動感とセンスにあふれるムービー MotionGraphics


MotionGraphics(モーショングラフィックス、以下MG)とは、抽象的なイメージを音と共に滑らかな動きで伝える映像表現である。先月に紹介したプロモーションビデオ(PV)と近いものと言えるだろう。事実Flashの世界では、最近までMG作品もPVとして紹介されていたが、伝えるテーマがストーリーより映像そのものを重視しているため、MotionGraphicsとした新たなカテゴリが生まれた。デザインや色彩などPVより技術的・論理的指向が要求されるMG作品は、言葉に依存する部分が少ないため、世界的に通じるカテゴリであるとも言える。
今回は、そのようなMG作品を集めたオンラインイベント「Perfect Promotion’06」より3作品を紹介する。



math.swf


数学、幾何学の美しさ、無機質性を表現した幾何形モーショングラフィックス。シーンごとの繋がりの美しさをMGでは一般的に求められているが、本作品ではあえて繋がりを持たせず様々なシーンを畳みかけているところが印象的だ。
「展開の速さと、前後のシーンの繋がりを意識的に切ると言う点において意識しました。」(eau.氏)
黄金比、フィボナッチ数列など数学が生み出すさまざまな芸術を映像という形で表現する手段として、MGは相性が良いことを明示した作品と言えるだろう。

La Mer ArtWorks



♪ “Melody”


タイトルの通り「Melody」をテーマとしたモーショングラフィックス。ポップなBGMにのせて五線譜を流れる音符のように色彩豊かな図形が次々と流れていく様は見ていて心地が良い。
「画像のコラージュやREELといった作品が流行している中、あえてFLASHならではの魅力のみで挑もうというのが今回の作品のコンセプトでした。また曲の尺が長い事もあり、如何に観る側を退屈させないかというのが課題の一つでした。」(√えふぇくと氏)
MG作品において複数の制作者によるコラボレーションは最近見かけるようになったが、本作品のように見る側に新たな刺激を与えるという点においては有効かもしれない。



Prism


「色」をテーマとしたモーショングラフィックス。文字通りプリズムから生み出された様々な色を持った光があふれ出す緩急のあるイメージが音と共に上手く表現されている。また固定した枠の中で平面的な動きが多いMG作品において、奥行きやカメラワークを意識することで3次元的な動きのある映像を実現している。
「音とのシンクロを意識しています。特にピアノの旋律を最大限に活かそうと思いました。また消失点を動かしたり、画面外を利用したりカメラワークをいろいろ考えました。全体を通してコントラストやストーリー性のようなものを感じて頂ければと思います。」(yama_ko氏)
先日レポートした映夜祭’06でもリクエスト上映され多くの支持を集めた本作品、MotionGraphicsの世界をぜひ大音量で体感して頂きたい。

yama-ko.net